善き人のためのソナタ


何で今まで知らなかったんだろう……と思うくらい、いい映画でした。
本当は他のDVDをつけようと思っていたのに、テレビでやっていた映像を見て何となく面白そうだな…….と見始めたら、見入ってしまって、実際にこういうことが行われていたという事実もあったので、余計にじーんときました。
ドキュメンタリーが好きでよく見ますが、映画も私は事実を元にした内容に惹かれます。

舞台は東ドイツ崩壊の5年前。
シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家であるドライマン(セバスチャン・コッホ)と、その恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が、反体制的であるという証拠をつかむよう上層部に命じられ、盗聴器を通して彼らの監視を始めます。任務に忠実に従っていたヴィースラーですが、監視を続けるうちに彼等の愛と自由な思想に次第に魅せられてゆき、本来の人間らしさを取り戻して行きます。

急に起こった出来事にびっくりして、どっと涙が出てきました。
最後も心にじーんとくる内容ですし、もしまだ見ていない方がいたら見て欲しい。
DVDを借りに行くと「心が震える」と書いている『フローズンリバー』やクリント・イーストウッド監督の『グラン・トリノ』。
実は、私は借りて見ても、心が震えず逆に拍子抜けをすることが多いです。
見終わると、何で、心が震えなかったんだろう?と考えるのですが、ほぼ最初の方で最後がどうなるか想像がついて最後まで観ると「やっぱりな…」となることが多いのと、恐らく主人公の心の変化が浅過ぎて「こんなに簡単に信念が変わっちゃうの?」….と主人公に思い入れができないまま話が進むからかもしれません。
その点、ヨーロッパの監督が作った映画は、主人公の心の変化がとても深く繊細に描かれていて、見ているうちに、主人公の気持ちに共感する事ができるので、心が震える映画が多いように思います。
脚本の問題なのか、歴史の深さの違いなのでしょうか……..。
★★★★★


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