吉原炎上 五社英雄


ドイツ人の友達はロボットレストランやスカイツリー、原宿や築地の魚市場など、初東京を満喫してハワイへ出発しました。

海外の人と接すると日本のことを改めて考えるのですが、私が今まで接したことのある海外の人で日本の歴史まで知っている人は少なくて、大分前にロンドンで安藤広重展をイギリス人の友達と見ていたときに、浮世絵の説明文を読んでいた友達が「東京と江戸って同じなんだって!!」って驚いて私に言ってきたので『エ!?知らなかったの!?』と驚いたことがありました。

日本の歴史をもっと海外の人に知って欲しいなーと考えていたら、しばらく見ていない五社英雄監督の『吉原炎上』が無償に見たくなってきて、DVDをゲット !!
古い映画のせいか、プレミアがついていました。
私はこの五社英雄監督の『吉原炎上』が大好きで、たまーに見たくなります。

内容は、吉原の中梅楼に売られてきた久乃とその中梅楼の4人の花魁の話です。
お家のお金のために娘が売られてくる郭の話なので、悲しいお話なのですが、私はこの五社英雄監督の『吉原炎上』は、役者さんの演技と衣装も含めた美術に魅せられています。

花魁役の5人はもちろん、端役の人も存在感があって『今の役者さんで、これだけの体当たりの演技ができる人はいないんじゃないかな?』と思うくらい、一人一人の演技が忘れられないのですが、私が一番気に入っているのは、中梅楼のおちかさんを演じる園佳也子さん。
『 この役ができる人は他にいないのでは? 』と思うほど、園さんの声のおちかさんの口上が素晴らしくて、中梅楼を切り盛りしていてチャキチャキな感じで明るいけど、郭で長年生きている凄みみたいなものも端々に感じられて、この方のおちかさんを見ると毎回うなってしまいます。

あと毎回見て凄いなーと思うのは菊川役のかたせ梨乃さん。
最初の方のちょっと頭が悪そうな感じから、身請けが決まって嬉しそうな話し方、久乃に啖呵を切るところなど、もう菊川にしか見えません。
国さん演じる岸部一徳さんの怒ったお客さんをなだめるところなどは『 本当にこういう人いそうだなー』と思うし、女性を買い付けて、遊郭などに売る仲介人役の成田三樹夫さんもシーンは少ないですが、強烈に記憶に残る存在感で、この映画は役者さんの演技だけでも見応えたっぷりです。
それに加え、記憶に残るセリフもたくさんあります。

こんな街が今の日本橋人形町に実際にあったという事実を海外の人にも知って欲しい。
先日、京都の友人と話していたら、京都のお茶屋文化も大分変わったそうでした。
「一見さんお断り」はしていられないそうで、お花代もあってないようなものだったのに、今ではネットに値段が書いているそうでした。

たくさんの美しい着物や明治時代の建物が見れる『吉原炎上』は、海外の友人に見せたい日本映画の一つです。


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