ミレニアム 『 火と戯れる女 』


ミレニアム 『 ドラゴンタトゥーの女 』の続編『 火と戯れる少女 』は、巨額のお金を手に入れたリズベットの休暇のシーンから始まります。

リズベットは、子供のときに起こしたある” 最悪の出来事 ” のせいで、長い間、精神科病院へ収容されていました。
そのリズベットの後見人のビュルマン弁護士は、リズベットに弱味を握られています。
リズベットが休暇を楽しんでいる間にも、リズベットへの恨みをつのらせるビュルマンは、謎のザラという名の人物にリズベット殺害を依頼します。

ミレニアムでは、フリージャーナリストのダグ・スヴェルソンが持ち込んだ企画、少女人身売買の告発本の出版を秘密裏に進めています。
ダグ・スヴェルソンがザラについて調べ始めると恋人のミアと二人、何者かに銃殺されてしまいました。
二人を撃った拳銃にリズベットの指紋が残っていたことで、リズベットは犯人として指名手配されてしまいます。

リズベットの精神科医 ペーテル・テレポリアンからの情報とリズベットを直接知るミカエルやミルトンセキュリティーのドラガン・アマンスキーから聞く情報の違いに戸惑うブブランスキー警部補。
女性警部 スヴェンソンも加わって殺人事件の捜査が始まります。

ここにリズベットの命を狙う金髪の巨人やリズベットの元後見人パルムグレンやリズベットの友人も加わって、リズベットを陥れるもの、リズベットの無罪を信じるものの闘いが始まります。
そしてリズベット自身も過去との闘いに挑みます。

『火と戯れる女 』は、完結せず「これから一体どうなるんだー!?」というところで終わります。『火と戯れる女 』と『 眠れる女と狂卓の騎士 』は2冊で完結です。

ミレニアム第3部『 眠れる女と狂卓の騎士 』はリズベットの犯罪に対しての法廷闘争とリズベット自身の過去への決着になります。
第3部で完結はするのですが、作者は第5部まで構想があったそう。
4部の3/4を書き終えたところで1部の発売もシリーズの成功も見ることはなく心筋梗塞で亡くなってしまったので、3部の続きがどうなるか不明です。

登場人物一人一人が強烈で憶えやすいので、名前が聞き慣れなくてもすぐ憶えることができます。
読み始めると先が気になって眠れなくなる本は、なかなかないので、この本を読み始めると物語にのめり込んで現実逃避ができますよ。
ペットが亡くなって落ち込んでいた人にこの本を貸したら、読み終わる頃には元気になっていました。


ミレニアム 『 ドラゴンタトゥーの女 』


” どんな内容だったかな? ”と『 ドラゴンタトゥーの女 』の続編『 火と戯れる女 』を軽い気持ちで読み始めたら、また止らなくなって朝になってしまった…..。

ミレニアムは『ドラゴンタトゥーの女 』『 火と戯れる女 』『 眠れる女と狂卓の騎士 』の三部作。
初めて読んだのは今から4年前くらいなので、ところどころ忘れていました。

第一部『ドラゴンタトゥーの女 』の物語は、雑誌ミレニアムの編集者ミカエル・ブルムクヴィストが、大物実業家 ヴェンネルストレムの違法行為を告発したことで、名誉毀損で訴えられ、有罪になった所から始まります。

大企業グループの前会長 ヘンリック・ヴァンゲルが、ある調査をミカエルに頼むため、事前にヘンリック・ヴァンゲルの弁護士からミカエルの調査を依頼されたのが、もう1人のメイン キャスト、リズベット・サランデル。
リズベット = ドラゴンタトゥーの女 です。

彼女は、ミルトンセキュリティー(調査会社)の優秀な調査員。
背中にはドラゴンのタトゥー、身体中ピアスや入れ墨だらけです。
人ともあまり関わりを持ちません。
周りから見ると無愛想でかなりの変わり者ですが、実は彼女には隠された才能がたくさんあります。

ミカエルの身辺調査を終えたヘンリック・ヴァンゲルは、ミカエルへ孫娘ハリエットの失踪の調査を依頼します。
最初は、乗り気のなかったミカエルもハリエットの失踪について一つ一つ解明していくうちに過去の連続殺人と関係していることをつかみ、調査にのめり込んで行きます。

調査の多さにアシスタントが必要となり、どこかに優秀な人材がいないかヘンリックの弁護士に聞いたところ、ミカエルの身辺調査をした女性がぴったりだとうっかり口を滑らせてしまいます。
自分が身辺調査されていたことを知ったミカエルは憤慨するのですが、その調査資料を見て、リズベットの優秀さを知りアシスタントを頼むことを決意。

そして、その調査をしたリズベットが登場。
リズベットは実は、スウェーデンでも指折りのハッカーで、ミカエルの調査の際もミカエルのパソコンへ潜り込んでいたのですが、ミカエルはパソコン内にしかない情報をリズベットが知っていたことで、ハッカーだと見破ってしまいます。

『 ドラゴンタトゥーの女 』の原題は『女を憎む男』なのですが、女性を憎む男を許さないリズベットは、連続女性殺人事件のことを知り、調査の協力を承諾します。
リズベットと調査を共にするようになったミカエル。
この辺りから事件の解明がどんどん進んで、本を読んでいたら、もう止らない…..。

この本の冒頭のミカエルと大物実業家 ヴェンネルストレムの闘いも終結して、最後は、ちょっとせつないのですが、読み終わって痛快でした。


河村康輔 SUPER SUPER SUPER


i’m so happy to get this book ♡


海賊とよばれた男


友人が『 海賊とよばれた男 』を貸してくれたのですが、読み始めたら止まらない….。
早く読みたいから電車の中で読もうと思ったのですが、各章ごとに泣かせるエピソードが書いていて、電車の中で泣くといけないのでやめました。

内容は、石油に魅せられた国岡鐵造という人の一生の話です。
出光興産の創業者の出光佐三氏がモデルの物語。
学生時代に石油に魅せられ、立ち上げた国岡商店。
社員を家族のように愛し、常に日本のことを考えて前に進む姿に心を打たれます。

明治、大正、昭和を生きてきた人なので、時代が移りゆくさまもよく分かりました。
戦争が始まる感じとか。
いつのまにか法律が変わって、気がついたときには、引き返せなくなって国民総動員で戦争を始めているところ。
クーデターが起きたのも戦争に突き進んでしまった要因のようでした。

『 沈まぬ太陽 』を読んだときも『 不毛地帯 』を読んだときも思ったのですが、戦争を体験した人は自分の会社のことよりも日本のことを第一に考える人が多いです。
『 沈まぬ太陽 』でも事故後の会社を立て直す為に会長を任命された国見氏が固辞した際、当時の総理に「 国の為に… 」と請われて、最後は引き受けていました。
『 沈まぬ太陽 』の国見会長のモデルは、元カネボウ会長の伊藤淳二氏です。



thanks ♡


ミステリードラマは眠らない


去年見たアメリカのドラマで、脚本家というものに興味を持ちました。
ドラマは、田舎からロサンジェルスへ出てきた小説家を目指している女性が脚本家になるというもの。

野沢尚さんの『 青い鳥 』が好きなので、あういう脚本はどういう風に書いたのかな….と思って、野沢尚さんが脚本家になりたい人向けに書いたこの本を読んだのですが、ちょっとイラストレーターにも通じるところがありました。

イラストレーターも作品を書くときに頭の中にいろいろな映像を貯めていた方が発想がたくさんできるな….と思っていたのですが、脚本家も過去に見た映画やドラマ、日々のニュースをたくさん見ていた方がいいと書いていました。
脚本を書くときもですが、プロデューサーやスタッフに説明するときに抽象的な言葉よりも共通の映像を具体的に話した方が伝わりやすいということでした。

また ” シナリオコンクールで賞をとっても、プロであれば賞をとった脚本でも直されていくので、それにどれだけ順応できるかが重要です ” と書いていて、この辺りも似ていました。
『 眠れる森 』や『 氷の世界 』の裏話が多かったです。

もっと野沢尚さんのドラマが見たかったな…..。

それにしても半日で届く amazon って、凄い…..。




アヒルと鴨とコインロッカー


最近、伊坂幸太郎さんの本を読んでいる友人が『アヒルと鴨とコインロッカー』を貸してくれました。
題名は、以前から知っていて、映画も見たいな….と思いながら、ずっと見ていなかった作品。
今まで『重力ピエロ』と『グラスホッパー』を読んだことがあるので、これで3冊目です。

現在と2年前の話が交互に出てくる構成です。
主な登場人物は、4人くらい。
きっとどこかで繋がっているんだろうなーと思いながら読み進めていたのですが、2年前に話していたことが現在に繋がっていて、もう一度読み返してみると視点が変わって読めて面白かったです。
早く謎を解きたくて、一日で読みました。

『重力ピエロ』もそうでしたが、事件がベースにある内容なのに、最後の方はいつも不思議と切ないけど、心が温まることが多いので、私は伊坂幸太郎さんの本をたまに読むのが好きです。

Bob Dylan Blowin in the WInd


豊穣の海


大分以前に読んだ三島由紀夫の『豊穣の海』。

大切な人を亡くしたばかりの頃、本屋でタイトルに惹かれて手に取った本です。
タイトルを見たときに”「豊穣の海」って、なんて美しいタイトルだろう……” と思ったのですが、この本で手が止まったのは、亡くなった人が海の好きな人だったから。
全4巻ある長編だったので ” 4巻もあれば、長い間、現実逃避ができる…. ” と思って読み始めました。
内容を全く知らなかったのですが、読み始めたら、その頃の私にはピッタリの本でした。

一番好きなシーンは、この本の4巻すべてに登場する本多繁邦が、10代の頃に訪れた月修寺に60年後、再び訪れる描写。
老いについて考えたこともなかったのですが、初めて老いというものを理解することができました。

あともう1つ、心に残ったのが本多が60年後に会った聡子のセリフ。
人間の記憶は2人以上の人の同じ記憶で成り立つもので、1人の記憶は実は不確かなものなのかも…….と考えさせられました。

『豊穣の海』4巻読み終える頃には、悲しみも癒えて平常の日々が送れるようになりました。

同じ本でも、読んだときの自分の年齢や置かれている状況によって感じ方が変わるので、同じ本を間隔をおいて読むことが好きなのですが、久しぶりに第1巻の『春の雪』を読み返してみたら、昔はよく分からなかった松枝清顕の性格が理解できるようになっていました。


cat people


i found this book at Art Book Fair in September.
i got it in the internet shop.