わたしはロランス


グザビエ・ドランの『 わたしはロランス 』を見ました。

ある日突然、性同一性障害を告白するロランスとその恋人フレッドの約10年に渡る物語です。

自分に正直に生きようと覚悟するロランスと恋人の意志を尊重しようと自分に言い聞かすフレッドの感情のずれ、周りの偏見もあり、次第に二人の心は荒んでいきます。
本当は愛し合っているのに、深いところで分かり合えない二人は別れを選びますが、その後もお互いを忘れることができず、再会、別れを繰り返し、結局はいつも同じところでぶつかってしまいます。

最初は、二人のノリと雰囲気のコロコロ変わる映像の流れついていけなくて、全く感情移入ができなかったのですが、フレッドとロランスが再会した辺りから二人の気持ちが分かるようになってきて、最後には心にずしっときました。

情報は殆どない状態で見たのですが、服装や髪型から1980年代の話かな?と思っていたら、途中1987年に二人が初めて出会ったというセリフがあったので、やはり1980年代、1990年代の話です。
1980年代はビビッドな色と肩パットと濃いメイクが特徴。
フレッドの髪型や服装が最初と最後でがらっと変わるので、この人のファッションを見るのもとても楽しかった。
( ロランスも変わります…..。)
音楽もシーンに合った懐かしい曲がたくさん流れていてよかった。

大量の水がたくさん降ってきたり、空からカラフルな洋服がたくさん降ってきたり、最後は枯れ葉が降ってきて、その時の主人公の気持ちを体現するものが上から降ってくるようです。
カラフルでパワフルな映像だったり、静寂の雪の映像だったり、色使いもとっても綺麗でした。

最初のシーンは、女装したロランスの目線の人々です。
異質なものを見るときの目ですね。
好奇だったり、卑下だったり、嘲笑だったり。

長い映画ですが、これくらい長くないと、私は、感情移入できなかったかもしれません。
切なくてじーんときました。
この映画の終わり方、とても好きでした。
「もう一度見ようかな…..」と思う終わり方です。

★★★★


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