『 青い鳥 』と『 眠れる森 』


先日、女優のりりぃさんが亡くなったのを知って、りりぃさんと言えば野沢尚さんの『 青い鳥 』の理森のお母さんだわ……..と思って、久しぶりに『 青い鳥 』を見始めました。

りりぃさんは、主人公柴田理森の母親で、理森の兄が事故で亡くなってから他の男性と恋に落ち、駆け落ちをしてしまった女性。
その後、毎月理森へお小遣いを送金していました。
理森がやがて駆け落ちをしたとき、まず頼ったのがこの母親で、美しい佇まいとハスキーな声が、若いときに駆け落ちをして、逃げ疲れ人生を悟った姿が柴田理森の母親にぴったりだなーと思って見ていました。
とても印象的で好きな女優さんでした。

そのまま野沢尚さん繋がりで、今度は『 眠れる森 』を見始めたのですが、こう何度も同じドラマを見ていると気づくことがあって、野沢さんの描く小説は、2人の男性と1人の女性というのが常にテーマのようです。

『眠れる森』と『青い鳥』にいくつか共通している部分がありました。

まずタイトルは、野沢尚さんの娘さんの本棚にあった児童文学から取ったということ。
もう一つは登場人物『青い鳥』の綿貫広務と『眠れる森』の実那子の父親の人物像が似ているところ。
時系列でいうと先に『青い鳥』が放映されて、その後『眠れる森』になるので『青い鳥』をよく見ていた人は『眠れる森』を見て気づいた人もいるかもしれません。

『青い鳥』の綿貫広務は、建設会社の社長の1人息子で、綿貫建設の専務についていますが、後に市長になります。
妻のかほりが、浮気をしていることに気づき、かほりが一番大切にしている娘の誌織を母親から引き離すために東京の私立学校の寮へ入れることを勝手に決めます。
これは、かほりへの嫌がらせ。独占欲が強く、直接的には何も言わず、間接的に傷つけるような性格。

『眠れる森』の実那子の父親は、市会議員。
実那子へ虐待をしていました。
理由は、実那子が自分の子供ではないと知ったからですが、実那子のボーイフレンドが川で溺れた事件とも何らかの関わりがあるようです。
ボーイフレンドが溺れたとき、実那子は現場で父親を見ているのですが、父親は、その時間には秘書と打ち合わせをしていたということになっています。

その時の秘書へ実那子の父親について尋ねると
「奥様の不貞に気づき、環境保護に力を入れていた奥様への嫌がらせに地元の山の森林伐採を提案し、奥様が男と別れると、その提案を取り下げるような子供染みたところがあった。」
ということでした。

市会議員と妻の不貞への嫌がらせ具合を聞いていたら『青い鳥』の綿貫広務を思い出しました。

野沢尚さんの脚本は、セリフが自然で美しくて好きなのですが、野沢さんも三島由紀夫さんが好きだそうで、納得がいきました。


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