バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)


アレハンドロ・イニャリトゥ監督の BIRDMANを見ました。

私は、この監督の『アモーレス・ペロス』と『21グラム』がとっても好きなのですが『バードマン』をすっかり見忘れていました。

久しぶりにDVDを借りに行けたので、4本借りてきました。
この監督の作品は、全体的にテーマが重くて、今回もそのような流れの映画かと思って見たらコメディーでした!!

『バードマン』って、主人公の後ろでずっと話している声からすると『バットマン』のことだよね?と思って、主演役者を調べたら、マイケル・キートンは初代『バットマン』。
大分年月が経っていて顔だけ見ても分からなかった…..。
これ、完全に自虐ネタですね。
ここで既に笑ってしまうのですが、一つ一つのセリフが笑える…..。
ナオミワッツは、出世作の『マルホランド・ドライブ』を彷彿とさせる役で、売れていない女優 & 突然のレズビアンシーン。

あの重いテーマを作る監督のコメディーは、やっぱりブラックコメディーでした。
印象的なセリフ満載。

「ブリキを着て大儲け。」(アイアンマンのこと)
「スマホの世界より現実を体験しろ.。」
「年代やプロットを勝手に変えるな。」
「ファラーフォセットは、マイケル・ジャクソンと同じ日に死んだ。運が悪すぎる。」
「ほめ言葉が愛だと思っているのね。」
「俺は有名人だから」「有名なのは映画だろ?」
「手軽にはまる低俗映画にバカが並んで金を払う。」
「目玉をくり抜いて、俺の目にして、その若さに戻って通りを眺めたい。」
「ハリウッド流見せかけの空しさだ。」
「絶頂期は1992年。役者名クイズになるのが関の山だ。」
「子供は、将来、ジャスティン・ビーバー」
「タイムズは忘れろ。世間は忘れてる」
「しゃべるまくる重苦しい芝居じゃない」
「新しい鼻がついた。イヤなら取り替えろ。メグ・ライアンの整形医に頼む?」
( メグ・ライアンの顔が変わり過ぎと話題になっていたので、このセリフが一番ブラックでした )

有名俳優が、ガウンがドアに挟まって、舞台に出るために繁華街をパンツ一つで歩かなければならない状況。
それを you tube にアップされ、1時間で35万回アクセスとか、舞台で必要なピストルを持っていなかったので、指でピストルとか、突然携帯が鳴って慌てるとか、想像の中で突然戦場になるとか笑えた…….。

演劇評論家の書いた文章をパブで批評家に批評するシーンも面白かった。
これは、酷評を書く批評家に役者が一番したい行為では?
出ている役者たちが最高。
ずっとドラムの音が流れているのも良かったー。

NYの演劇界はLAのハリウッドを下に見ているのかな?
どちらの業界人にも大ウケだったに違いない…….と思う内容でした。

「バードマン=演劇界の本音。」が私の感想。

面白かったー!!


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