山口小夜子未来を着る人 @ 東京都現代美術館


日本人モデル、山口小夜子さんの奇跡を辿る展覧会『山口小夜子 未来を着る人』展へ行きました。
私が初めて山口さんを見たのは、多分、資生堂のポスターです。
初めて見た山口さんは、真っ黒なおかっぱに細くてつり上がった目に小さな赤い口紅、とても妖艶で同じ人間とは思えないほど美しかった。

杉野ドレス学校で洋裁を学んでいたときに同級生のモデルを始めたことや山本寛斎さんのスタジオで働いていたことがきっかけでモデルを始めたそうです。
デビューして2年ほどで世界で有名なモデルになっていて、各メゾンのマリエ(トリ)を飾ったそう。

山口小夜子さんの私物も展示されていて、好んで聴いていた音楽や集めていたもの、雑誌や中原中也のイラスト集など彼女の嗜好を知ることができます。
モデルをやっていたのは知っていましたが、途中から表現者として舞台等でもご活躍されていたんですね。
また、舞台衣装も手がけていて、その多才に、またそのクウォリティーの高さに脱帽。山口さんの舞台見たかったです。

山口小夜子さんのマネキンがたくさん並んでいるところで、マネキンの前に立つと本物の山口さんに上から見られているようでした。
遠目で見ると舞台を見ているようで、演出が素晴らしかった。

山口小夜子マスクをかぶった男性が福島原発の近くへ行った映像もあって、詩が心に刺さりました。きっと本物の山口さんも原発反対だったでしょう。

「山口さんて、すごい人だったんだな…….」と今日改めて思い知らせれて、これを知っていたら、お会いしたとき、緊張して話せなかったかもしれません。

山口さんには何度かお会いしたことがあります。

初めてお会いしたのは、ペーターズギャラリーの FRENDS展で。
山口さんは長年、ペーター佐藤さんのモデルをされていました。
その日は、ペーターさんの命日でペーターさんの仲間が集まっていて、ペーターズの講師をされたHRMの垂水ゲンさんも一緒だったので、気心の知れている垂水さんとケラケラ笑って話していらして、とても可愛らしい明るい方という印象でした。

次にお会いしたのは網町三井倶楽部で開催された Jean Paul Gaultier のショーのとき。
ショーのトリを飾るモデルで出演されていて、山口さんは、個性的なゴルチェの洋服を着ても、山口小夜子という存在感が圧倒的に際立っていました。
そしてこの日は、プロのモデルの顔をされていました。

その後も偶然お会いすることが何度かあって憶えて下さったので「次はいつお会いできるかな……」と楽しみにしていたので、亡くなったと知ったときは悲しかった。

リラックスして微笑んだ山口さんと一緒に撮った写真は、宝物です。


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